めでたさは常の大根の白さかな 泡六
この句では、大根は、「だいこ」と読んでほしい。
家庭菜園の作物のスターは、夏は胡瓜に茄子、冬は大根と白菜ではないかと、思う。
どれも、色合いのきれいな野菜であるし、また、それぞれがおいしい漬物になる。
この他、菜ものでは冬の季節ならほうれん草・小松菜・春菊、キャベツ、レタス、いろいろあるが、スターと呼ぶには少々迫力に欠けるような気がする。
大根は、重宝する野菜であることはいうまでない。自分がこの野菜の美点としてまず挙げたいのが、「白い」ということだ。表皮は土に触れる部分であるから汚れがあるのだが、一皮剝いてみよう。みずみずしい純白、それに包丁をさくさく入れる、その気持ちよさは、大根のほかない。
その特質が一番よく発揮されるのが、大根おろし。霙のようで美しい。大根は、一品の主役にも立派になれるが、引き立て役として健気な働きを存分にできる。それに、大根にはトリアーゼという消化酵素が栄養素としてふくまれている。胃腸によろしいのだ。まさしく、スターとしての資格が十分。
であるから、「大根役者」だの「大根足」だのというのは、まったくもって無礼なことである。