薺句帖

余生の洩らし言、「薺」とは、「なずな」あのペンペングサであります。誤字脱字の常習ゆえ、気になさる方にはお勧めできません。

冬の苺は、甘くて薄情だ。

   

 

 

 季題の上では、「苺」は夏のものであるが、この頃は冬の果物であるかのような気がする。

 そういう思いは、一般的なようで「冬苺」とか「寒苺」とか、そんな季題も自分以前からあるようだ。

 「苺」は、配偶者の好物であるし、孫たちも喜んでたべるので、近隣の温室水耕栽培の苺直販農家へ買いに行くだけでなく、どこそこがおいしいと聞くと、あちらこちらへと車を走らせる、配偶者の話だ。

 畑には、露地いちご。何種類かの苺苗を毎年付け足すように植えてしまったので、交雑して、なんだかわからなくなっている。これは、温室苺に比較すると固く小さく甘さもまったく及ばない、それはそれでおいしいと、孫も配偶者も楽しみにする。

 自分と云えば、さほど好きなものでないと決めていたが、この頃はすこし気が変わって、配偶者がどう食べてみないと、勧めてくるのをちょっと期待している。でも、顔はやれやれという表情でいようと、決めている。

 

 

     冬苺いじわるな君一口で   泡六

 

     ハンケチのそれはワインか冬苺