薺句帖

余生の洩らし言、「薺」とは、「なずな」あのペンペングサであります。誤字脱字の常習ゆえ、気になさる方にはお勧めできません。

比企の森を歩く。

 昨日は、ぽかぽか陽気に誘われて、武蔵丘陵森林公園を散歩した。

今月二度目、月初めは梅林を巡ったのだった。

あれから、10日余り経ったのだが、いよいよ春は足元にも樹上にもやってきていた。

 


    

さびかへる比企の沼辺のあまな哉  泡六

 

この国営森林公園は、比企の丘陵地帯に所在する。比企丘陵には、その谷津地形を利用したため池が沢山あって日本農業遺産に指定されている。森林公園内にも多数のため池が随所に残っていて、周辺には湿性植物も生育しているのだ。アマナは、小さく可憐な早春の野草である。

 

 

 

藪道を抜けいでしなば山桜

 

 

 すでに、自生する山桜の一部の木は、三,四分咲きであった。背の高い藪の間の落葉の道をゆくと、山桜が若葉と花を同時につけて枝をさしかけて来たのだった。

 

 

 

 

どうであれ老人一人菫草

 

 

 菫は、春の象徴のような花である。こうして、年をとっても、またこの春に菫を観ることが出来ことは、取りあえずは喜ばしいことなのだ。