薺句帖

余生の洩らし言、「薺」とは、「なずな」あのペンペングサであります。誤字脱字の常習ゆえ、気になさる方にはお勧めできません。

ご近所の花を巡る

 昨日は、日本中が侍ジャパンの応援団になってしまった。普段はプロ野球にも高校野球にさほどの興味関心を寄せてはいないが、それでも無関心ではいられない。結果はドラマチックに米国チームから勝利をおさめ、今朝になっても勝利の美酒の二日酔い状態であるようだ。慶賀の至りである。

 そのおかげでか、岸田首相のウクライナへの隠密裏での電撃訪問が、なんとなく色あせてしまっている、でもこれでヒロシマG7の議長として臆することなく他国首脳の前に立つことができるというものだ、これも慶賀といっていいのか、いかがなものか。

 そんな昨日のこと、翌日からは天気が崩れる、いよいよ菜種梅雨、春の長雨へと変化すると予報がでていたので、ご近所の桜見物でもしてこようかと、自転車で心当たりの場所をめぐりにでた。

 

 この辺りは、全くの平野で、市街から田園地帯にでると東から南へ地平線がとりかこむ。西から北では、秩父・上州・日光の連山が霞に隠れるように望める。

 その田園は、今まさしく麦青める季節で、雲雀が空高く啼き、雉のつがいが畑中を歩くのが見えたりする。そして、広々とした中に集落が点在し、鎮守の森や寺の甍が光っていたりする。そして、そこには例外なくとりどりの種類の桜が植えられていて、遠くからもよく見えるのである。自転車は、その花の梢を目指して農道をのらりくらりと行くのだ。風は弱い南風、まったくもって、なんて呑気な午後であるか、とか。

 東京は満開になったと聞いているが、この関東中央地域のソメイヨシノの花はほとんどの木で早いものさえ3分咲き程度、今盛りなのはヤマザクラ系統である。今日の自転車散歩は、心当たりのあるヤマザクラの古木を巡るのだった。

 

 

 ヤマザクラソメイヨシノ区別は、簡単だ。ヤマザクラは、花と同時に若葉が芽吹きだす。その花と若葉のそれぞれの春の色が、よろしいのだと、思っている。

  

 

 それに、ヤマザクラは巨木になるようだ。ソメイヨシノは寿命概ね60年程度と云われているが、ここにあげたお寺のヤマザクラの梢はあたりのソメイヨシノに抜きんでていた、樹齢はわからないが、この寺自体は江戸時代の創建である。

 

 

二時間余りの桜めぐりであったが、まことに結構なひと時であった、・・・・、でも、こんな余生の過ごし方で本当に良いのだろうかと、ペタルを踏みつつ、楽しめきれていない自分もいて、・・・弱った。

 

 

   

 

花は四分理想主義者のあごの髭  泡六

 

いや染めよきのふけふあす山桜