薺帖

余生の洩らし言、「薺」とは、「なずな」あのペンペングサであります。誤字脱字の常習ゆえ、気になさる方にはお勧めできません。

大根を蒔きました

 野菜の種は、春と秋に蒔くものが普通でしょう。

 今日、ようやく大根を蒔くことができました。

 

 颱風一過。

 長い雨が一息ついて、青空が見えたからです。

 

 畑の畝の表面を黒マルチで覆う栽培方法を採っています。

 そのマルチを張ることが泥濘んでいたために、なかなか出来ませんでした。

  

 この付近では彼岸に入る前に種を蒔けと昔から言われています。

 それがこの長雨でしたから。

 

 こちらは暢気な家庭菜園ですから出来ただけのモノをおいしくいただければ十分。

 しかし、農家さんにしたらこのところの異常気象はだだならぬ状況でしょう。

 

 ーおや今夜は月が見えます。

 ー東の開いた窓に昇っています。

 ー今、10月1日23:00

 

 話を戻します。

 自分らのような素人の土弄りでさえ年々の作柄の変化を感じます。

 

 種は蒔けば、大抵芽が出ます。

 ですが、無事に育つかどうかはお天道さま次第ですからね。

 

 

 そういえば、この句ですが・・・。

 

大根蒔く日より鴉憎みけり  河東碧梧桐

 

 これは、「権兵衛が種まきゃ烏がほじくる」ってことでしょうか。

 江戸時代の実在の人物だそうです。

 

 身のまわりでも鴉は目に余る狼藉を働いておるのですが。

 しかし、この頃は鴉も飽食なのか蒔いた種を荒らされたことはありません。

 

 あるいは、発芽した若芽を啄みにくるとか。

 その被害はあったのですが、あれは鴉ではなく椋鳥でありました。

 

 どうも、鴉確かに素行がよくない点もありますが、

 この件ではちょっと、どうなのでしょうかと。

 

 ・・・・関西人風に〆るとですね。

 ・・・・「知らんけど」

長雨せし間に

庭の金木犀の花の香りが消えました。

花の匂いに気づいたのは二週間ほど前でしたが。

 

咲いた花もほんのわずか。

地面に散った花びらも見えません。

 

このしつこい長雨のせいでしょうか。

あるいは、これからもうひと花さかせるのでしょうか。

 

陋宅の庭だけの出来事かもしれません。

みなさんの身近ではいかがでしょうか。

 

花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに 小野小町

 いつの間にか、花の色もすっかり色あせてしまいました。降る長雨をぼんやりと眺めいるうちに。(わたしの美しさも、その花の色のように、こんなにも褪せてしまいました)

 

小町は、桜の色あせるさまから己の美貌の衰えを連想しました。

長雨を眺めながらですね。

 

では、爺ィの私は金木犀の花の香りが消えたのを、何に喩えればよいのでしょう。

長雨に閉じ込められながら。

 

 木犀のながめせしまに散り果てつ   空茶

蜂を握る

 雀蜂です。

 握ってしまいました。

 

 それは、刺されるに決まっています。

 蜂の方だっていい迷惑であったでしょう。

 

 苦瓜の蔓が伸びて紫苑にからみついておりました。

 放っておいたのですが、ふと気になって。

 

 紫苑は今が見頃です。

 十五夜花ともよばれているほどですから。

 

 その苦瓜のひきはがそうとして絡んでいる蔓を掴みました。

 一緒に雀蜂を。

 

 薄手の手袋なんて雀蜂の針には役に立ちませんでした。

 痛撃に思わず声を上げて飛び跳ねました。

 

 針を突き立てられている痛み。

 一切のまじり気なしの純粋な痛み。

 

 作業中止。

 家に飛んで帰りました。

 

 刺された辺りを洗って軟膏を塗って保冷剤で冷やしました。

 それから1時間ほどアナフィラキシーショックを怖れましたが、事も無し。

 

 手慣れている、そう、昨年は足長蜂でしたが、経験が役立ちました。

 一度痛い目に遭うとちょっと賢くなるものです。

 

 幸い雀蜂の巣はありませんでした。

 あちらも突然なできごとであったわけです。

 

 こんなこと、どうなの?と自問しました。

 そう悪くない、生きている証拠の痛み、清潔な痛撃。

 

 

 

 

我こそは専守防衛秋の蜂  泡六

 

食卓レタス危機

レタスが高騰しているそうです。

朝のサラダからレタス抜きとなる危機です。

 

秋の長雨のせいです。

レタスは腐りやすい野菜ですからね。

 

予報では颱風27号も程なく列島へ接近するそうです。

そのせいで秋雨前線も活発になりますとか。

 

政治的な混迷が深まると、なぜか天変地異も伴うとか。

為政者の徳の薄い時代は、踏んだり蹴ったりになるのですね。

 

今日も一日中しとしとと雨が降っております。

空は灰色の濃淡で覆われています。

 

こんな日がこれからしばらく続くとしたら朝のサラダはさみしいものになりそうです。

レタスだけではありません、おそらく小松菜も青梗菜も。

 

鳥たちの声がきこえてきたので、窓を明けました。

雨が途切れていました。

 

耳を澄ませて聴くと、何種類もの鳥がいっせいに啼いていました。

虫の声も混じっています。

 

鳥も虫も哀しげに。

天を恨むかのように、きいきりきいきりと啼いております。

 

安心して普段通りにレタス食べられますように。

 

 

秋であれレタス抜きには朝サラダ  泡六

 

レタス

 

 

 

 

挨拶の月

 雨続きで、大根の種まきが遅れているのです。

 土地の古くからの農民は、彼岸までにし終えるようにと、言うのです。

 

 昨日今日、久しぶりの晴れ間を見て、この機を逃すものかと、畑に出たのです。

 とりあえずは、白菜とブロッコリーの苗を植えました。

 

 大根は後回し。

 種より苗は、生き物ですから、放置できません。

 

 種は、生き物には見えません。

 でも、これから芽が出て、葉を茂らせて、実を結ぶ、とすれば、これも命あるもの。

 

 とはいうものの、種が枯れた。

 というような話は、余り聞いたことないのですが。

 

 そんなわけで、農作業でくたくたになって寝転んで、月を見ました。

 ですが、月はちょっと顔を見せて、ほどなくそっと消えていました。

 

今夜の月・2026.09.25