薺句帖

余生の洩らし言、「薺」とは、「なずな」あのペンペングサであります。誤字脱字の常習ゆえ、気になさる方にはお勧めできません。

認知機能検査に行ってきた。

一昨日のことだ。

 

 その朝も今朝のようにしとしと細い雨が降っていたが、昼前にはやんだが、憂鬱な曇り空。

 あんな天気の日が一番の嫌いだ。

 そんな日が、運転免許の更新に必要な認知機能検査の当日であった。

 雨の朝は、それでなくても渋滞しがちだ。朝早くに外出することの用のない日々であるから、朝8時に家を出たのは久しぶりだ。9時10分集合であるが、道路状況を思って早めに出た、それでも渋滞にあって、ようやく10分前に到着した。普段の日中であれば、20分足らずで着くはずである。

 駐車場にはいると既に先着の人たちが、傘をさして佇む人もいる。当然のことだが、皆高齢者、とはいえ、ちょとは幅があった。

 昔ある自動車教習所が会場である。少しは手を入れてあるが、古びた建物で、河川敷が実技講習場になっている。

 自分は四〇歳を過ぎてから、運転免許証を取得した。講習場は都内であったから、ここは初めてだ。

 

 さて、認知機能検査であるが七五歳になる高齢者に課せられた検査である。

正直言うと、高をくくっていた。ご近所のあのずっと年上の皆さんだって通過したのだ。たいしたものではなろうと。そんな調子で試験日もうかっリ忘れかけていて、二日前にふと思い出した。そんな調子であったが、前日前夜になって、多少の事前知識も必要だろうと、ネットを覗いた。すると、なんとまあ、落第する人いるらしいことが警告されている。

 認知機能検査についてこと細かに解説があり、それをどうすれば無事通過できるか、さまざまな対策があげられていた。まったく、おおごとのようだ。とにかく、暗記の努力がいるようでないか。内心、びびった。

 記憶力の低下は、我が一番自覚している。此れは困ったと、懼れつつYouTubeで練習問題に取り組んでみた。さて、その結果はまったくできない。あきれるほどだ。

 暗記には、手を同時に動かすこと、昔一夜漬けに効果があった気がする。そこでやってみた。だが、まったく、脳みそにしみ込んでこない。

しかたない、生半可に憶えると反って混乱する、止めた止めたとなった。

 

 翌朝、女房に「俺、認知症かも」というと、「べつにいいんじゃない」と軽く流された。不思議とその態度で、気が楽になった。

 

 さて、検査結果は事なきを得て、「認知症とされる基準に至りませんでした」という証明書を得た。認知症でなくて残念でした、そんな風にも読めなくもないなあと、思った。

 

 

 

 検査の実際については、こんなところで書くのは不適切だろうから、書かないのである。

 そうして、今日は午後から実技講習だという

 天気は全くよくない。雪までちらつくとか、まったくもってやれやれだ。

 

 

老いゆえの制度の枷や春寒し  泡六