薺句帖

余生の洩らし言、「薺」とは、「なずな」あのペンペングサであります。誤字脱字の常習ゆえ、気になさる方にはお勧めできません。

山茶花山茶花咲いた朝・・・・。

我が家の南にある垣根は山茶花である。

 

殺風景になりがちなこの季節に、山茶花の花はいいものだ。

 

南に植えてあるといっても、太陽の位置が低い冬の間は、隣家の影になりやすくて、日が差すのは数時間でしかない。

 

したがって、周辺の家々の山茶花より開花が若干遅れ気味のように思うが、毎年11月初めには律儀の咲いてくれる。

 

それから、咲いては散り、咲いては散りしながら、年を越えて今も花をつけ続けている、

 

山茶花と椿の大きな違いは、散り方である。椿の花びらは付け根が合着しているので、花全体がほとりと落ちる。

 

        紅い椿白い椿と落ちにけり  河東碧梧梧

 

だから、このよく知られた句から、はらはらと一枚ずつ散る花びらを想う人はいない。

 

山茶花は、朝起きて庭を見ると、垣根の根元に花びらが地面に撒き散らかされている。

 

それはそれで、いいものだと思う。

 

人も散り際が大事と云う人がいる。

 

椿のようにさっぱりと首を落とすような最期がいいのか、山茶花のように徐々に花びらを散らしてフェードアウトしてゆくのよいのか、さてさて、いかがか。

 

 

      

 

 

 

   山茶花の垣より覗く親子して  泡六