薺句帖

余生の洩らし言、「薺」とは、「なずな」あのペンペングサであります。誤字脱字の常習ゆえ、気になさる方にはお勧めできません。

遅い初雪。

 一夜明けて、快晴。

 昨日の雪がはだらの残って、明るい日差しに溶けてゆくようだ。

 立春を過ぎての遅い初雪であった。

 向かいの家の椿なのか山茶花なのか、枝に積もった雪に映えて美しかった。

 

 昨日の日中、窓から降りしきる雪を見ていたら、思い出した。

 ちょうど受験シーズンである。

 今は昔であるが某大学の入試を終えると雪になっていた。傘を持っていなかった。二教科を終えたところで、合格の芽はないとはっきりわかっていた、だが、そのことより大粒の雪が髪や顔に落ちると、頬を伝わる雫となって、そして、ハンケチも忘れていた、そいうことが、全部惨めに感じられて、つらかったことを、覚えている。

 そんなことを、なぜか思い出した。

 

 

     雪晴や半熟の黄身はぷよぷよ  泡六

 

 

 もうしばらく前になるが、十日町であったか、この前をぐらぶらと通り過ぎたのだった。これも、今頃の記憶である。

 

   

 

 いつもように、一人旅であった。