薺句帖

余生の洩らし言、「薺」とは、「なずな」あのペンペングサであります。誤字脱字の常習ゆえ、気になさる方にはお勧めできません。

それぞれのペースで生きる

 

    梅が香の届かぬ方へ妻の影  泡六

 

 

夫婦して外出するするのは、日常のことである。二人して旅にもゆく。

いまさらにいうのもなんだが、不仲というわけでない。

しかし、微妙に世間のご夫婦と異なるのは、ふたりして肩を並べて睦まじそうに歩くというようなことがない。

買い物などで、どうしても相手の意思確認が必要な場合は、一緒にいるが。

 

例えば、月に一度は散策に行く植物園が隣町にある。さほどの面積でないが、植えられている樹種も多く、四季折々の花ばなもよく手入れされていて、二人とも気に入っている。直近では、セツブンソウが咲いていた。

 

 

           

 

 

公園の駐車場に車を置いて、ぶらぶらと歩くのだが、一応の道順は共有するがその見て歩く速度はそれぞれのペースとなる。足を止める箇所は重なりがちであるが、その他はバラバラ。

観光地などではこれが昂じて、時折遠くにいるお互いを確認していないと、夫婦離散になる。ゆえに、大きなショッピングモールでは、集合の時間と場所を確認しておくことが欠かせない。

こういう個別の徘徊的行動スタイルは、結婚当初からで、子育て中もどちらかが子供たちを見ていると、もう片割れが行方不明となって、よく言い争いになった。今は、険悪になることはないが、互いの存在確認は若い頃より煩瑣になっているようなのだ。