薺句帖

余生の洩らし言、「薺」とは、「なずな」あのペンペングサであります。誤字脱字の常習ゆえ、気になさる方にはお勧めできません。

鵯再訪

2024年一月五日 金 晴れ、しかし空気は冷たい。

 

能登半島地震の被災状況の全容は未だ不明。

 志賀原発はその後も安全であるのだろうか。

〇昨年、姿を見せなかった鵯(ヒヨドリ)が、突然朝方現れた。

 

 

 何年前からか忘れたが、秋の終わりから山茶花がなくなる頃合いまでの期間、一羽の鵯(ヒヨドリ)がやって来るようになった。

 始めは山茶花の蜜で摂りにくるのであろうと見ていた。

 ある日、ふとした出来心で、山茶花の脇の葉を落とした卯木の枝に食べ残して萎びた林檎を刺しておくと、いつの間にかそれが芯の辺りを残して食べられていた。

 どうらやら、その鵯が啄んだらしい。

 おもしろくなって、蜜柑やパンの食べ残りなどを与えてみると、そのうちにこちらが見ている多分気づいているのだが、堂々と食べる姿を見せるようになった。

 鵯は群れで移動すると思っていたが、それはいつも一羽でいた。

 そのうち、餌付けしてしまったような感じなって、餌を卯木に刺すと間もなく飛ん来るようになった。どうやら近くの高所から、こちらの動静をうかがっているらしかった。

 この餌に目をつけて雀もやってくる、鴉もごく稀に姿をみせる。そうなると、鵯は甲高く鳴きながら、餌を横取りする輩は許さんぞとばかり、鋭い鳴き声で威嚇するように近くの山茶花へ舞い降りてきた。

 そんな様子であったのが、昨年はまったくやってこなかった。

 それが、又姿を見せた。

 ガラス戸越しに、居間の中を窺っているかのようであった。

 こちらとしては、「やあしばらくだったね、林檎あげようか」と声をかけて友情を示そうとしたのだが、こちらを一瞥すると、ぷいと飛び去ってしまった。

 それが、あの鳥であったのかは分からないが、又姿を見せてくれないかと思うのだった。

 卯木に、萎びた蜜柑を刺してみたが、又きてくれるものやら・・・。

 

 

 

鵯よ声はれやかに訪れよ 泡六