薺句帖

余生の洩らし言、「薺」とは、「なずな」あのペンペングサであります。誤字脱字の常習ゆえ、気になさる方にはお勧めできません。

川に沿って歩いた

昨日、寒の入りであった。

それでいて、よく晴れた今日の午後、堤の上は暖かだった。

とはいえ、寒さに備えた身支度のせいでもあるのだが。

 

川は、利根川水系一級河川。堤上からは赤城、春名、妙義、浅間、武甲、男体、関東上州を取り巻く山々と、時によるが、富士、筑波も見える。

 

自分は、この川に飛来する鳥たちを時折見に行く。

野鳥観察というようなことでなくて、ただ安物の双眼鏡で鳥の姿を眺めるのが、楽しいというだけだ。

 

福川は、寂しかった。

20羽ほどのオオバンの群れが餌を漁りながら、ゆっくりと遡上してゆくのが見えただけだった。

 

川上へ水鳥ゆくを歩調とす   泡六

 

数百メートル間隔で、大小の橋が架かっている。

その一つの橋の上から見えたのは。

 

川真昼影は闇色野鯉群れ

 

寒の空鳩らは左へ回転す