薺句帖

余生の洩らし言、「薺」とは、「なずな」あのペンペングサであります。誤字脱字の常習ゆえ、気になさる方にはお勧めできません。

ディーン・ボーエン展、ベンチ、女学生

8月2日 快晴。

 

群馬県立近代美術館の「ディ―ン・ボーエン展 オーストラリアの大地とそこに生きるわたしたち」という展覧会へ。

 行きつけの美術館、爺ちゃんに憂き世の風を忘れさせてくれるひと時を提供してくれる場所である。学生からサラーマンの時代は、基本的に生活の中心は都内であるから、めぼしい展覧会は観るように心掛けた。忙しくともちょっとした時間をひねり出すことはさほど難しくはない。

 しかし、退職して北埼玉に停滞すると、車で移動する方が気軽になる。都内へはほとんど行かなくなった。そこで、好きな美術館巡りも自ずと限定されてきて、群馬、栃木方面へと出てゆくことになった。この方面の方が北埼玉よりずっと充実している。正直、埼玉の北辺りは、・・・・、止めにする。

 群馬県の県立美術館は、高崎と館林にあって、どちらも、ただお金がかっかているだけではない立派な建築である。

 昨日の近代美術館の設計は、当時新進気鋭であった磯崎新である。実に気持ちの良い空間で、あのような広々とした展示室は、めったにない。

 さて、展覧会のこと。

   概要はここで。

 「癒し」というのは、この頃の流行であまり使用したくない言葉だが、おそらくこの展覧会を観た人に共通する思いだろう。

 たのしいのだ。

 勿論、自然に向き合うというのは、それだけで現代では、文明批評になってしまう場合もある、この作家もそうだ。

 一時、自分は家の自分専用のPCの立ち上げ画面に、この作家の奇天烈に牙が生えた赤い「犬」の絵を張り付けていた。ちょっと、精神が壊れぎみの時期の気分にぴったりだった。ちょっとした、思い出である。

 

 〇ここには、ピカソの「ゲルニカ」のタペストリーが所蔵されていて、現在展示中である。

 

〇この美術館は、群馬の森という自然豊かなところにある。

 その森のとあるベンチが、自分がここに訪れる度に一休みする気に入りの場所なのだが、今日は先客がいらっしゃった。

 

汗入れて独りが好きな女学生  泡六

 

「汗入れて」とは、蕪村の『汗入ㇾて妻わすれせめ藤の茶屋』という句で知った。一息入れて、汗を収めるという意であるとか。