薺句帖

余生の洩らし言、「薺」とは、「なずな」あのペンペングサであります。誤字脱字の常習ゆえ、気になさる方にはお勧めできません。

朝顔が咲いた

7月20日 晴、やや湿度が下がったらしく、過ごしやすい。

 

 

 ○鉢植えの朝顔が咲いた。

 大輪ではないので、見た目はずいぶん温和しい感じの花になった。

 清楚なというのが、第一印象であった。

 昔から朝顔は庶民の花である。我らの庭にもふさわしい。

 

 〇朝顔は、季題では秋に属する。季語が現代の季節感とずれがあるのは、誰でも知っているが、そのギャップは奇妙なものであるのだが、むしろ俳句の風雅を知る人の常識として、ちょっとした味付けになっているのかも知れない。

 1997年刊行の「現代歳時記」(成星出版)は、金子兜太・黒田杏子・夏石番矢が編者であるが、これは完全に西暦に従っていて、現代の暦によって季節が分割されている。

 新年(冬)、1月(冬)2月(冬・春)3、4月(春)5月(春・夏)6、7月(夏)

8月(夏・秋)9、10月(秋)11月(秋・冬)12月(冬)

 こうしてくれると、自分などは腑に落ちて、随分楽になる。この歳時記では、「朝顔」は、8月(夏・秋)に分類されている。まあ、夏か秋か定かで無いのは中途半派だといえなくもないが、それでも一概に「秋だ」としていないのが現実的ともいえる。そこうで、自分は朝顔は夏の花だと思っている。

 

朝顔や年金暮らしの縁側に

 

11月21日 薄曇り、あるいは雲の多い晴れ。今日も湿度がそこそこで、熊谷にしては過ごしやすい。扇風機だけで過ごせる。

 

 〇今日は紫の朝顔が咲いた。どうやら蒔いた種は、ピンクと紫の二種混合であったらしい。

 

 

 この朝顔、ちょっと見慣れないなと思って、ちょっと調べてみると、どうやら比較的あたらしい品種であるようだった。

 

○さて、こんなのがある。

 

蕣の花で鼻かむ女哉 一茶

 

「蕣」は、ムクゲとも読むが、ここではアサガオである。

 鼻紙が庶民の間でも広く使われることになったのは、江戸時代中期以降であるらしく、一茶が見た婦人は、さすが手鼻というわけにも行かず、手近に咲いていた朝顔をとっさに手にとって、鼻紙の代用としたのだろうか。あるいは、いつも朝顔の花はそのようにつかわれていたのか、どちらかわからない。としても、朝顔を用いるのは悪くない気がする。ムクゲも花の形は似ているが雌蘂が尖っているので、多分具合が悪いことだろう。

 

○子供の頃、朝顔は、あちこちの家の垣根や軒先で咲いていたものだ。夏休み、毎朝ラジオ体操に集合する良っチャンちの庭先に、毎年咲いていた。

 

蕣の鉢は昭和の軒下に

朝顔の鉢蹴倒して叱らるる

朝顔やズックは穴が開いたまま

朝顔がしぼめばそれはお昼時

朝顔や第一まではしっかりと